帰国
日本に帰国しました。2週間いなかっただけなのに季節は移ろい春の陽気、何か不思議な感覚です。
久しぶりにニカラグアに行き、10年来の知り合いであるスラムの人たちに会いました。生活は相変わらず素朴でしたが、その中でも生活が向上した人もいました。トタンで作ったボロボロの小屋に住んでいて路上で物売りをしていた女の子は、結婚して、子供を産んで、政府から支給された小さな家には冷蔵庫もありました。
もちろんより苦しい生活を営んでいる人々もたくさんいます。仕事をせず日中も酒を飲みながら酔っぱらって路上でたむろする若者、生後3か月の赤ん坊を残して亡くなった母親、など。
やはり、こういう場所にいると人の生き方の多様さに圧倒され、色々と考えさせられることが多々あります。
分かっていながらも日々の生活の忙しさの中で、自分たちが同じ地球上で生きていることすら想像することは難しいものです。
僕はこの場所で子供たちや大人たちと大きな絵を描いてきたのですが、この活動も特に彼らに経済的な潤いを与えるものでもなければ、食糧や医療など生きていく上で必要なものでもありません。
なぜこんなことをしているのだろう?と自問自答しながら迷いもありますが、色を幾度と塗り重ねて制作しているうちに何らかの喜びや、温もりのような感覚がじわじわと内側に芽生えてくるのです。
その感覚はアートの持っている一つの可能性なのかもしれません。小さなことではありますが、この活動を通してそんな温もりのようなものを波及することができれば幸いなものです。
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